近年、日本における国際結婚の件数は、2005年の入国管理法改正後の偽装結婚の排除の流れ、2011年の東日本大震災などの影響からか減少傾向となっています。しかし、国が外国人の受け入れを積極的に進めている現在の状況をみると、今後は国際結婚の件数も比例して伸びていくと思われます。
日本人同士の結婚手続きというものは、実は世界的に見ても非常に安易なものとなっており、外国には手続きがとても複雑な国があります。
日本人と婚姻関係を結んだといっても、外国人配偶者の方が日本で生活するためには在留資格が必要です。通常ですと結婚後は「日本人の配偶者等」の在留資格に変更される、または、結婚後来日される場合は新規に「日本人の配偶者等」の在留資格を申請するということになるかと思います。この「日本人の配偶者等」の在留資格を取得するためには、日本のみではなく、外国人配偶者の母国においても結婚の手続きを行う必要があるのです。
婚姻が一方の国だけで成立している状態を跛行婚といいます。足並みが揃わない、つまり、もう一方の国においては独身という状態となってしまっているということです。あまり良いことではありませんね。
国によっては、お相手の国での結婚が不要となる場合もあります。結婚が必要な場合でも、国によって結婚の手続きというものはまちまちです。国際結婚をするに際しては、お相手の国の結婚制度がどのようなものかしっかりと調べなくてはなりません。
手続きに少しでも不安があるという方は、専門の行政書士に相談されることをお勧めします。
国際結婚における手続き・必要書類というものは、お相手の国籍によって異なります。ここでは例として、中国籍の方と日本国籍の方の場合・韓国籍の方と日本国籍の方の場合について記載します。
※その他の国籍の方との国際結婚を考えておられる場合は、当事務所にご相談ください。
日本では、男は18歳、女は16歳で婚姻可能となります。中国では、男は22歳、女は20歳で婚姻可能となります。また、女性側が再婚の場合、日本の法律により離婚後100日を経過するまでは再婚することができません。(離婚時に懐胎していなければ適用除外)
《中国で先に結婚手続きをする場合》
日本人と中国人が2人一緒に必要書類を持参し、中国国籍の方の戸籍所在地の省、自治区、直轄市の婚姻登記処に出頭して登記手続きを行い、結婚証を受領します。
♦必要書類
【日本人が用意するもの】
①婚姻要件具備証明書(独身証明書)
※日本の外務省の認証と、中国大使館の認証が必要です。
婚姻要件具備証明書は法務局で取得できます。
認証については、外務省領事移住部政策課証明班と中国大使館で取得できます。
②婚姻要件具備証明書の中国語翻訳文
③パスポート
【中国人が用意するもの】
①居民戸口簿
②居民身分証
③パスポート
※これらの書類については婚姻登記処によっては異なる場合があります。事前に確認したほうが良い
でしょう。
【日本人が単独で帰国後、市区町村役場に婚姻届をする場合に必要なもの】
①婚姻届
②結婚公証書
③出生公証書(配偶者の)
※配偶者に離婚歴がある場合、離婚公証書が必要です。
公証書には日本語翻訳が必要です。
3か月以内に市区町村に提出してください。
《日本で先に結婚手続きをする場合》
先に日本で結婚手続きを行う場合は、お相手の中国国籍の方が中長期の在留資格を持って日本に滞在されている場合に限り可能です。
♦必要書類
【日本人が用意するもの】
①婚姻届
②戸籍謄本
【中国人が用意するもの】
①婚姻要件具備証明書(在日中国大使館発行のもの)
②パスポート
※中国での結婚歴があり、離婚・死別している場合
離婚=離婚公証書または離婚調停証
死別=死亡公証書
日本での結婚歴があり、離婚・死別している場合
離婚=婚姻届受理証明書
死別=死亡届受理証明書 が別途必要です。
日本で先に結婚手続きをした場合、中国で婚姻登記をしなくても有効な結婚と認められます。しかし、中国での居民戸口簿の婚姻状況の欄を既婚に書き換えなければなりません。
そのため、日本の市区町村役場で婚姻受理証明書(外務省と中国大使館の認証が必要)を取得し、中国語翻訳文を添付して中国人配偶者の戸籍所在地の役所に提出する必要があります。
韓国では男女ともに18歳で婚姻可能となります。韓国人との結婚の場合、韓国人が日本に在住か否かによってどちらでの手続きを優先させるか考えなければなりません。基本的には日本での結婚手続きを先に進めたほうがスムーズかと思います。
※中国国籍の方との結婚の場合と異なり、韓国国籍の方との結婚の場合は双方の国にて結婚手続きを行わ
なければなりません。
《韓国で先に結婚手続きをする場合》
韓国の市役所に婚姻届を提出します。用意する書類は以下の通りです。
♦必要書類
【日本人が用意するもの】
①パスポート
②戸籍謄本(韓国語翻訳文が必要です。)
③婚姻要件具備証明書
※婚姻要件具備証明書は在韓国日本大使館で取得できます。取得に際しては、パスポート・戸籍謄本
を2人で窓口に持参する必要があります。
【韓国人が用意するもの】
①婚姻関係証明書
②住民登録証
その後、韓国国内での結婚が成立したら、在韓国日本大使館(領事館)若しくは日本の市区役所での手続きが必要となります。
♦在韓国日本大使館(領事館)で報告手続をする場合の必要書類
①婚姻届 2通
②戸籍謄本 2通
③韓国人の婚姻関係証明書と家族関係証明書 各2通
④パスポート
♦日本に帰国後、市区役所で手続きする場合の必要書類
①婚姻届
②韓国人の婚姻関係証明書
③韓国人の家族関係証明書
④韓国人の基本証明書
※②~③については、日本語翻訳文が必要です。
《日本で先に結婚手続きをする場合》
韓国人は査証免除措置がとられており、90日まではノービザで来日できます。この期間中に日本での結婚手続きを完了後、婚姻が記載された戸籍謄本を韓国語に翻訳して在日韓国大使館(領事館)に提出することで、韓国での結婚手続きも完了させることができます。
日本の役所に各書類を提出します。用意する書類は以下の通りです。
♦必要書類
【日本人が用意するもの】
①婚姻届
②戸籍謄本(本籍地以外の役所に婚姻届を提出する場合)
【韓国人が用意するもの】
①パスポート
②基本事項証明書
③家族関係証明書
④婚姻関係証明書
※②~④については、翻訳者の署名入りの日本語翻訳文が必要となります。この3つの書類は、在日
韓国大使館(領事館)で取得できます。
日本での結婚手続きが完了したら、韓国側での結婚手続きが必要となります。婚姻届を提出した市区役所で婚姻届受理証明書を取得し、在日韓国大使館(領事館)に報告手続きを行います。
♦在日韓国大使館で報告手続きする場合の必要書類
①婚姻届受理証明書
※翻訳者の署名入りの韓国語翻訳文が必要です。
②家族関係証明書
国際結婚では、結婚手続きそのものはご自身で行い、その後の在留資格「日本人の配偶者等」の許可申請についてのみ行政書士にご依頼されるケースが多いようです。
在留資格についてご不明な点はコチラをご覧になるか、当事務所までご連絡ください。