兄弟姉妹以外の相続人の生活を最小限度確保するため、法律上必ず留保されなければならない相続分の一定割合のことを「遺留分」といいます。
以前は、遺留分を侵害された相続人は民法で定められた範囲で財産を取り戻すことができる「遺留分減殺請求権」というものがありましたが、あくまで贈与又は遺贈された財産そのものを返還する現物返還が原則であり、金銭での支払いは例外とされていました。これでは、相続財産に共有状態が生じ、事業承継や持分権の処分等が難しくなってしまいます。そこで、2020年4月1日に施工された民法改正により、「遺留分を侵害されたものは、遺贈や贈与を受けたものに対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求ができる」ことととなり、金銭請求に一本化することとなりました。
【民法第1046条】
1.〈遺留分額の算出〉
[遺留分]=[遺留分を算定するための財産の価格]×[遺留分割合(原則2分の1)]×[遺留分権利者の法定相続分]
2.〈遺留分侵害額の算出〉
[遺留分侵害額]=[遺留分額]-[遺留分権利者の特別受益の額]-[遺留分権利者が相続で得た財産の価格]+[遺留分権利者が相続によって負担する債務の額]
(事例)法務省ホームページより